脂肪肝
脂肪肝について | 奈良市の江川内科消化器内科医院
脂肪肝とは
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脂肪肝とは、肝臓に中性脂肪を主体とする脂肪滴が蓄積した状態をいいます。
現在、日本では、過食や運動不足、肥満の増加により、脂肪肝の患者数が増加しています。脂肪肝の一部は脂肪肝から慢性肝炎(脂肪肝炎)に進行し、慢性肝炎からは肝硬変や肝不全、肝臓がんを発症することもあります。
脂肪肝は、大きく分けてアルコール多飲による「アルコール性脂肪肝」と、アルコールの摂取量が少ないか無いにも関わらず発生する「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」に区分されます。NAFLDの発症には肥満、メタボリック症候群、生活習慣病が関与しているとされています。
さらにNAFLDは、進行性がない「非アルコール性脂肪肝(NAFL)」と、肝硬変や肝がんへの進行がある「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」に分類されます。
脂肪肝(NAFLD)の頻度は肥満人口の増加に伴い、成人の20~40%に達しています。男性では30歳を超えると30~40%の高頻度を示し、女性は年齢とともに徐々に高頻度となります。
脂肪肝の原因
脂肪肝の主な原因は、アルコールの過剰摂取、肥満症などです。
その他に薬剤性や代謝異常、内分泌疾患、栄養障害などが原因となり生じることもあります。
また、糖尿病も脂肪肝の原因の一つであり、脂肪肝が進行するとインスリンの効果が低下し、糖尿病を引き起こす可能性もあります。
脂肪肝の症状
ほとんどの脂肪肝は無症状であり、通常は健康診断や人間ドックで偶然に肝機能の異常が見つかります。
しかし、アルコール性脂肪肝の場合、禁酒をしないと、アルコール性肝炎やアルコール性肝硬変などの進行性の肝疾患に進展し、それに伴う症状が現れる可能性があります。
初期段階では倦怠感や食欲不振がありますが、進行すると消化器症状として逆流性食道炎や吐血が見られることがあります。
また、神経症状としては、しびれや歩行障害などが発生する場合があり、精神神経症状としては依存症、うつ病、睡眠障害などが合併することがあります。
脂肪肝の検査
肥満、メタボリック症候群、生活習慣病といった合併症や、服薬歴、家族歴、飲酒歴、その他の疾患の有無などを確認します。
血液検査では肝機能に関連するAST、ALT、γ-GTPの上昇が見られることがあります。
肝機能の異常がある場合、脂肪肝以外の肝臓疾患を除外するためにB型肝炎、C型肝炎、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎などの検査を行います。
画像検査としては主に超音波検査が行われます。超音波では脂肪肝が明るい肝臓の部分として白っぽく描出されます。
脂肪肝と他の肝臓疾患との鑑別や、進行性NASHを疑う場合には、肝生検と呼ばれる肝臓組織の一部を採取し病理検査を行うこともあります。
脂肪肝の治療
アルコール性脂肪肝の治療において最も重要なのは禁酒です。禁酒により肝機能障害が改善され、アルコール性肝硬変への進行が阻止されます。食事では高蛋白食や緑黄色野菜を摂取し、ビタミンやミネラルの補給を心掛けます。アルコール性肝炎の進行を予防するためには、禁酒が重要です。
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の主な原因は食べ過ぎです。食事に含まれる過剰な脂肪が中性脂肪として皮下脂肪として蓄積され、更に脂肪が肝臓に蓄積されて脂肪肝となります。
肥満がある場合は、カロリー制限の食事療法が行われます。また、アルコールや脂肪、糖質の摂取制限や有酸素運動を取り入れることも重要です。
肝硬変へ進行する非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の治療においても、体重の減量が最も重要です。現在の体重の7%を減量することが脂肪肝の改善につながります。食事療法と運動療法を組み合わせ、糖尿病や脂質異常症などの合併症も同時に治療します。
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